チューブスクリーマー大解剖!その1
チューブスクリーマー大解剖 その1
今回は、僕の大好きな歪系ペダル【IbanezのTubeScreamer】について記事を書いてみようと思います。
歪系ペダルの中でも、最も人気で販売量も多いと思われるTS系の本家本元。
折角ですので、もう書かなくてもいいだろう?これを読めばほとんど分かるだろう!
そんな内容を目指して書いてみたいと思います。
(とても長いので覚悟してください!笑 ブックマークなどに追加しゆっくり読むことをお勧めいたします。)
※長くなりすぎましたので、2回に分けて公開したいなと思います。
2回目の記事はこちら!
effectorboard555.hatenablog.com
基礎知識
1979年にIbanez社によって発表されたオーバードライブペダルである【チューブスクリーマー】
当時、10個発表されたコンパクトエフェクターの中の一つでした。
Ibanez アイバニーズ チューブスクリーマー 35周年記念モデル TS80835TH [TS808 35th Anniversary Limited Model]
- 出版社/メーカー: Ibanez
- メディア: エレクトロニクス
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その後、40年(2019年現在)の歴史の中で、様々な改良・コラボ・モディファイ品・コピー品など、自社のみならず進化と発展を重ね、世界中で愛され続ける名作ペダルです。
このペダルの前身は、Ibanez社のMicroTeacherという練習用の小型アンプ(机の上などにおいて練習できる)なのですが、発売後、ニューヨークのSAM ASHという楽器屋(僕はここによく通っていました)にメーカーが訪れた時に事件が起きました。
『この小型アンプはあまりいい音じゃない。しかし、マーシャルアンプに繋いだ時に驚くほどの最高な音になる!まるで真空管が叫んでいるようだよ!』
この店員さんの言葉がヒントになり、開発されたのがTubeScreamer(真空管を叫ばせる)なのです。
音の特性
チューブスクリーマーの音を一言で表すと【クリーミーな中音】とよく表現されます。
まず、このペダルをONにすると、高音域と低音域がガッツリとカットされます。
ここが1つ目のポイント。
耳障りで、ギタリストが演奏し難さを感じる高音域はカットされ、ベーシストやドラマーの出す音域とぶつかり、バンドアンサンブルを阻害する低音域もカットされます。
この結果、ギタリストにとって好都合な中音域が相対的に強調される結果になるのです。
また、オペアンプという素子を使用し歪サウンドを作っているのが2つ目のポイントです。
原音(クリーン音)と歪んだ音をミックスするという方法が採用されています。
原音+歪という、ダイオードなどで歪を作り出していた当時、チューブスクリーマーが発表される前にはない考え方でした。
この2つの特徴が、TS系という、チューブスクリーマーから派生した歪ペダルの特徴だといえます。
この2つの特徴を兼ね備えたペダルを弾いた時、多くのギタリストがTS系だね!と思うのです。
使い方
オーバードライブというペダルは、音を歪ませるために使うペダル群です。
その中でも、TS系と呼ばれるペダルは(基礎知識の項目でも触れましたが)もともと小型のアンプとして開発されているので、どちらかというとプリアンプ(通常、アンプの中に入っていて、音質を調整しパワーを整える部分)という要素を持つペダルです。
ですので、使用しているアンプとの組み合わせが重要になってきます。
単体で歪を作ることもできるのですが、RolandのJCのような基本的に歪まないアンプでの使用には向いていません。
単体で歪ませた際のサウンドは、モッサリしたと言いますか、エッジのない音像のハッキリしないサウンドになりがちです。
ですので、この単体の歪サウンドを聴いて『チューブスクリーマーは使えない』という評価をしている方もたまにいらっしゃいます。
チューブスクリーマーの最大の魅力を引き出すには、やはりブースターとしての使用方法でしょう。
この使用方法は、初心者の方には馴染みのない方も多くいると思います。
単体で望みの歪を作るのではなく、他の歪ペダルやアンプ自体の歪みとの組み合わせで、より滑らかでゲインアップさせたサウンドを作るという方法です。
この方法は、是非是非スタジオで試していただきたいと思っています
(参考YouTubeなどを貼ってもいいのですが、こればかしはご自身でON-OFFしながら弾いてみないと実感できないと思います)
チューブスクリーマーのDRIVEつまみは控えめに設定し、LEVELつまみをOFF時よりONの時が音量が上がるように設定します。
こうすることで、後段(後方に繋いでいる)歪系ペダルや、アンプ(真空管が好ましい)の歪量を増すとともに、チューブスクリーマー独特の中音のまろやかさを付加することができるのです。
使用しているギタリスト
使用しているギタリストは、ハッキリ言ってほとんどのギタリストと言っていいほど、挙げていくとキリがないのですが…
この人に触れないわけにはいかないと思いますので、Stevie Ray Vaughanについて軽く書いておきます。
彼を一躍有名にしたバンドが、彼の率いるStevie Ray Vaughan & Double Troubleです。
このバンドの結成が1978年(この辺りは諸説ありますが)ですので、1979年のチューブスクリーマー誕生とほぼ同時期に活躍の場を広げていったことになります。
ちなみにこのバンドのCDデビューは1983年です。
※日本の皆さんは、いわゆるデビューというのはCDをレコード会社と契約して発売した時と考える傾向がありますが、多くのミュージシャンがレコード会社とは別にプロ活動を行っていますので、レイヴォーンもこの頃にはプロとして長いキャリアを積んでいました。
彼は、No.1と呼ばれる愛用のFender StratcasterとFender SuperReverbアンプの間に2つのチューブスクリーマーを配置し、一つは常時ON、もう一つはソロの時のブーストと使っていました。
あえて、中型の真空管アンプを使い、2つのチューブスクリーマーを使うことで、歪みやすい環境を作っていたんだと考えます。
彼のプレイは正に驚異的で、ブルースロックというその後の音楽史に多大な影響を及ぼすわけなのですが、彼の功績で見逃してはならないのが、やはり、チューブスクリーマーを世界に知らしめたということです。
このシンプルで汎用性の低いペダルは、発売当初に最高のギタリストが最高の使い方を示し世界中で愛されることになるのです。
Stevie Ray Vaughan, Voodoo Child!
現行品ラインナップ
さて、世界中に最も多くのフォロワーを持つペダルの一つであるチューブスクリーマーですが。
現在、本家のIbanezより発売されているものは9つあります。
9つもあるんです!!やばいですよね。
発売当時のビンテージチューブスクリーマーの復刻品から、より現代のニーズに合わせた進化版など様々なラインナップが用意されています。
1、 TS9
現行ラインナップの最も基本的なものがこのTS9です。
歴史的にはTS808というモデルが最初で、このTS9は後発品なのですが、現在ではチューブスクリーマーの基本形として考えられています。
(その後、TS808は復刻されるのでちょっとややこしいのですが。)
基本的にはTS808とTS9の回路は同じなのですが、TS9はより明るくハッキリしている音像という印象です。
こだわっているギタリストにとっては大きな違いがあると思うのですが、初心者の方にはよく分からない違いかもしれません。
初心者の方は、音の違いよりも、見た目や、DCケーブルが使えるか?スイッチが踏みやすいか?
そんな実用面で考えてもいいのでは?と思います。
使い勝手の良さは圧倒的にこのTS9が勝っています。
2、 TS9DX
TS9の発展的な位置づけのTS9DXは、モードコントロールで、より幅広いサウンドの出せる機種です。
一つで3度おいしい!って感じで意外とおすすめです。
よく、TS系ってストラトなどシングルコイルに向いているよね!って話があるのですが、このTS9DXはレスポールなどのハムバッカーに向いているTSと言えるのではないでしょうか??
ノーマルのTS9のサウンドも出せるので、とりあえず一つ持っておきたい!ビンテージな見た目なんか気にしない!って方にはおすすめしたい機種です。
3、 TS808
これが、ビンテージファンにはたまらない!TS系の初期号をリイシューしたモデルです。
もう、この見た目だけでほしい!という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか??
見た目はもちろんなのですが、内部の回路やパーツも可能な限り初期号を復刻しているとのことで、マニアにはたまらない一品になっています。
しかし、マニアの方向けだけではありません。
先ほどTS9の項目でも書いたように、音にもTS9とは違う特徴がありまして、少し甘いサウンドといいますか、まろやかな印象で、それでいてカラッと枯れた小粋な音がします。
僕の好きなTS系の音は、このTS808のサウンドなんですよね。
今回この記事を書くにあたり、どうしても皆さんに聴かせたい音源があるのですが、その音源が正に、このTS808系のサウンドなのです。
正確な機材は分かりませんが、たぶん、Fender TelecasterとFenderDeluxeReverbとの組み合わせに、TS系のペダルを踏んでいます。
クリーンなサウンドの周りに自然に絡む歪のサウンドは、まさにTS系のブースト音なのです。
下記に貼っておきますので、是非聞いてみてください!
次回に続く。
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