伝説エフェクターの歴史の分岐点Klon Centaur考察
今回の記事は、伝説のペダル【Klon Centaur】について書いてみようと思います。
エフェクターの歴史を大きく塗り替え、現在のギタリストのボード作りへの意識を大きく変えた存在。
回路・歴史・使い方・特徴などの説明と、なぜこのペダルが偉大なのか?
そのあたりの話をしてみたいと思います。
Klon Centaur
多くの方が、このペダルを一つのブームとして認識されていると思います。
優秀なオーバードライブ・優秀なブースターそういった認識で考えている方が多いと思います。
最低でも15万前後、状態のいいものでは30万以上で取引されているペダルです。
しかし、僕はそう考えていません。
このペダルの真の価値は、エフェクターの歴史の分岐点となり、世界中のギタリストの音質を向上させるきっかけとなったことです。
Ibanez Tube Screamerから始まり、Xotic RC Boosterに至るオーバードライブ(ブースター)の歴史の分岐点。
日本の歴史でいうと坂本龍馬のような存在がこのKlon Centaurだと思うのです。
このペダルは、このような視点で捉えないと真の価値は見えてきません。
高額な本物を購入しても、有名なコピーモデルを購入しても、いまいち使い方が分からずに売ってしまうことになるでしょう。
【本当の価値】今回の記事は今まで誰も語らなかった視点で、このペダルの話をしてみたいと思います。
歴史
では簡単にこのペダルが歩んだ歴史を見ていきましょう。
歴史を紐解く際は、視点を細分化させたり拡大化させたりすることが大切です。
このペダルの生みの親が最後に語った言葉。
『多くの方々に不快感を与えるバカげた誇大広告は、私の意図するところではありません。ご理解ください。』
この言葉の意味が、歴史を紐解くことで見えてくる気がします。
Klon Centaur伝説の一番の被害者は製作者本人なのかもしれません。
みなさんも是非、この言葉の真意を考え、多くの誇大広告に惑わされずに、自身の思考でこのペダルを客観視していただきたいなと思います。
そうすることで、ご自身のエフェクターボードの音質向上にも役立つはずです。
誕生
1994年、ビル・フィネガンのハンドメイドで製作・販売され始めたケンタウルスは、優秀なオーバードライブペダルとして人気を獲得しました。
初期型は通称【ロングテール】と呼ばれ、大型の筐体(ボディ)に描かれたケンタウルスの尻尾が長いことからそう呼ばれています。
筐体の色や描かれている絵が生産時期により違います。
基本的にどれも高額なケンタウルスですが、初期型に近いほど希少価値は高く高額で取引されています。
回路
このペダルの特徴は当時としては独特の回路にあります。
しかし、基本的にこのペダルの基盤は、コピー防止の為エポキシ樹脂によって隠されています。
ですので、一般的に出回っている回路図は、誰かが分解して起こしたものか、その後発売された後続機種のものだと思われます。
簡単にこの回路の特徴を挙げると
このような特徴が挙げられると思います。
更に、ハンドメイドなだけあり、Swichcraftのジャック・CTSポット・Carlingのスイッチなど高品質なパーツが使われています。
当時の販売価格は約6万円ぐらいだったと思います。
サウンドの特徴
基本的には歪みません。
ゲインを上げれば若干歪はしますが、それ単体でドライブサウンドを楽しめるような歪み方はしません。
真空管アンプの性能を最大限に引き出し、ギタリストの演奏に忠実に寄り添うようにできています。
車でいうと、スポーツカーがハンドル操作やアクセルの効きなどに敏感なように
高品質な真空管アンプをより高性能に、普通のアンプもより高性能にアップデートするような感覚です。
原音の質感を損なうことなく(トランスペアレント)ハリとダイナミックさを付加し、ギターサウンドをイキイキとさせます。
ですので、使用方法としては、基本的にアンプで音作りをすることから始めなければなりません。
ギターとアンプでお気に入りのサウンドを作ったら、このペダルを繋ぐ。
すると、高音質バッファーが音に元気と艶を与え、ペダルをON すると真空管が喜びの悲鳴を上げます。
更に、ギターはギタリストのピッキングに忠実になり、弦の振動は幸福感を伴いピックアップへ音を預けることになります。
終焉から次のステージへ
受注生産は数年待ちという人気を博したケンタウルスですが、突如、ビル・フィネガンは生産を終了してしまいます。
ここは定かではありませんが2010年ぐらいの話です。
しかしその数年後ビル・フィネガンから、Rockett Pedals社から正式な後続機種【KLON KTR】が発売されます。
このKLON KTRは、基本的な回路は本家そのままに、バッファードバイパスとトゥルーバイパスの切り替えスイッチなど、マイナーチェンジが加わっています。
KLON KTR
この機種が現在新品で購入できる正統後続品になります。
そして、問題の言葉『多くの方々に不快感を与えるバカげた誇大広告は、私の意図するところではありません。ご理解ください。』というビルの言葉がこのペダルには記してあるのです。
多くのフォロワーを生む
その後、世界中の多くのメーカーがケンタウルスのコピーモデルや、独自の解釈でのペダルなどを発売しています。
もはや、ケンタウルス系(トランスペアレント系)と呼ばれるペダルのカテゴリーができているほどです。
主なものをご紹介しておきます。
ELECTRO-HARMONIX / Soul Food
electro-harmonix エレクトロハーモニクス エフェクター ディストーション/ファズ/オーバードライブ Soul Food 【国内正規品】
- 出版社/メーカー: ELECTRO-HARMONIX
- 発売日: 2014/06/13
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
初心者の方はこのペダルはお手頃価格で購入できます!!
ネットでのレビューも本当に多く上がっていて、多くの方が所有されている印象です。
Walrus Audio VOYAGER
Walrus Audio ウォルラスオーディオ オーバードライブ ギターエフェクター VOYAGER
- 出版社/メーカー: Walrus Audio
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
トランスペアレント系の代表格がこのVOYAGER。
本家を超えたといわれるほど、ピッキングニュアンスやヴォリュームへの追従性など、ギターを弾く喜びを味わえます。
トランスペアレント系と検索すると、まず出てくる名機です。
J ROCKETT AUDIO DESIGNS / ARCHER
J. ROCKETT AUDIO DESIGNS (ROCKETT PEDALS) / ARCHER
- 出版社/メーカー: J. ROCKETT AUDIO DESIGNS
- メディア:
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本家の後続機種【KLON KTR】を製作しているRockett Pedalsが制作するペダル。
僕はこれを使っていますが、本当に優秀なペダルです!
とにかくこのメーカーは音のセンスがいい!
ケンタウルスという名前が出れば、必ず挙がるペダルがこのペダル。
WAY HUGE / WM20 CONSPIRASY THEORY
高品質で独自性のある製品を生産しているWAY HUGE
ケンタウルスをジョージ・トリップス流の解釈でコンパクトな筐体にパッケージ!
オリジナルと同じコントロールに加え、内部昇圧回路も搭載。
ローゲインからミディアムゲインでの甘く倍音豊かなオーバードライブ・サウンドはもちろん、ブースターとしての使用もおすすめです。
まあ挙げればきりがないほど出てきます。
とにかく全てのメーカーが、この関連機種を抱えていると言っても過言ではありません。
歴史の分岐点
このKlon Centaurの発売以降で、どのようにエフェクター業界が変わったのでしょうか?
ケンタウルス以前
ケンタウルスが発売される前は、チューブスクリーマーというブースターが一般的でした。
ケンタウルスも、この原始的なペダルを元に開発されたと思います。
effectorboard555.hatenablog.com
ケンタウルスは、チューブスクリーマーとの共通点を多く持っており、TS系に見られる独特の中音域をもっとフラットに考えているところが大きな違いです。
トランスペアレント(透明な)系と呼ばれる所以です。
更に、18v駆動(内部昇圧)にすることでより広いヘッドルーム(歪むまでの余裕)を生み出しました。
このTS系からの方向転換。これがこのペダルの成したもっとも偉大な功績だと思います。
※チューブスクリーマーとの最大の共通点に【原音と歪音を分けて合せる】という仕組みが挙げられます。
この半分クリーン・半分歪みという構造が、ケンタウルスという名前の由来だと僕は考えています。
ケンタウルス以後
そして、ケンタウルス以後に何が起きたかというと【クリーンブースター】の時代がやってきます。
effectorboard555.hatenablog.com
クリーンブースターは、バッファーとブースターを合せたような発想で、ケンタウルスの進化系ともいえます。
ケンタウルスが、ギター→ケンタウルス→アンプという状況を想定しているのに対し
クリーンブースターは、ギター→クリーンブースター→他のエフェクター→アンプという状況を想定しています。
この進化が、より明確に世に知れ渡ったのがXotic RC Boosterではないでしょうか?
このペダルは内部昇圧はしないものの、18v電圧に対応しており高いヘッドルームを得ることができます。
18v駆動させると、より広いヘッドルームを確保でき、歪みにくく艶やハリをサウンドに付加させます。
更に、ノイズ発生のリスクも軽減され、まさに理想的なケンタウルスといった使用になっているのです。
最後に
今回の記事はKlon Centaurについて書いてみました。
僕は、このペダルが誇大広告されているという意見に賛成です。
もちろん、このペダルが素晴らしいというのは事実ですし、今回の記事に書いたように歴史的な価値もあると思います。
しかし、現在も30万で取引されているという現状は異常です。
それに、その関連コピー商品の誇大広告も、正確に品質や製品の存在意義(使い方)を示しているとは思えません。
本来、エフェクターはギタリストのサウンドをよくする為のものです。
もちろん、マニアに方がいて、機材収集したいという思いがあるのも否定はしません。
しかし、このペダルが開発された裏側には、確実に音への情熱が存在しますし【もっとギタリストの音を良くしよう!】という思いが詰まっているペダルです。
伝説のケンタウルス!25万!
伝説のケンタウルスの忠実な再現モデル!!
その様な売り文句に惑わされずに、本来の製品の使い方や価値を考えて購入していただきたいなと思います。
最後に、もう一度開発者ビル・フィネガンの言葉を載せておきます。
『多くの方々に不快感を与えるバカげた誇大広告は、私の意図するところではありません。ご理解ください。』
ではまた次回。
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